脂肪由来幹細胞治療(再生医療)

自己細胞で自己細胞を修復・再生
脂肪由来幹細胞治療
脂肪由来幹細胞は、私たちの体内の様々な細胞に変化できる万能な細胞です。脂肪細胞はもちろん、骨や軟骨、筋肉、神経、血管など、体の組織を構成する様々な細胞になることができるため、病気やけがで損傷した組織を修復する再生医療に大きな期待が集まっています。
さらに、この細胞は、私たちの体の免疫システムにも深く関わっています。炎症を抑えたり、免疫細胞の働きを調整したりする働きを持つため、自己免疫疾患や慢性的な炎症が原因の病気の治療にも役立つ可能性が注目されています。
こんなお悩みに効果が期待できます
- 脂質異常症や糖尿病による動脈硬化
- 病気や怪我の後遺症(痛み・しびれ)に悩んでいる
- 老化による身体機能の衰え
- 腎機能障害
- 自己免疫疾患
- 更年期障害
- 体の内側から若返りたい
- さまざまな病気を予防したい
Check Point
当クリニックは厚生労働大臣許可医療機関です
第二種再生医療等
計画番号:NA8230002
「生活習慣病に伴う動脈硬化症に対する自己脂肪由来幹細胞を用いた治療」
再生医療(幹細胞)について
現在、平均寿命が延び、”人生100年時代”と言われるようになった中で、健康寿命の延伸やクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上が社会的な大きな課題となっています。その中で、再生医療、とりわけ幹細胞を利用した治療は、世界中で研究、臨床応用が加速度的に進んでいます。
幹細胞は、さまざまな細胞に分化する能力を持つ細胞であり、損傷した組織や臓器の修復に大きな可能性を秘めています。
再生医療とは

幹細胞再生医療は、損傷した組織や臓器の修復、再生「失ったものを取り戻す」を目的として幹細胞を使用する医療・治療法のことです。病気やケガなどで失われた組織・臓器の再生や、機能の回復を目指す医療のことです。
例えば、とかげはシッポを切っても、再びシッポが生えてきます(図1)。わたしたち人間も、切り傷を負っても自然とかさぶたができて数日後には元通りになりますよね。これらの修復・再生の時に体内で活躍しているのが、『幹細胞』であり、その再生力を、より高度な医療技術(治療法)として応用・発展させたものが、再生医療です。
人間の再生力(自然治癒力)

私たちのからだは、約60兆個の細胞が集まってできています。これらの細胞の生まれ変わりを担うのが幹細胞です。この幹細胞は加齢とともに減少するため、再生能力が衰えます。年を取るとケガや病気が治りにくかったり重症化しやすくなったりするのはこのためです。
私たちの再生力は幹細胞の量と質に関わっています。
再生力を生む幹細胞は加齢により減少する

幹細胞は、私たちの体の中に元々存在する細胞で、体の様々な組織の細胞になることができます。しかし、加齢とともに再生力を生む幹細胞が減少し、再生の力が弱まるため、傷ついた細胞を再生できずに病気になったり、病気が重症化したりするのです。
幹細胞は必要な形の細胞を作り出すことができるので、この幹細胞の力を利用して、病気の治療や、若々しさを保つための研究が進められています。
3種類の幹細胞
再生医療に使われる『幹細胞』は、「ES細胞・iPS細胞・体性幹細胞」の3種類ですが、その中でも現在、治療への実用化が最も進んでいるのが、体性幹細胞*1です。
*1:細胞を生み出し補充する「再生力を持つ細胞」。自分の体の細胞由来のため、遺伝子への関与がなく、拒絶反応や腫瘍化のリスクが幹細胞の中でも極めて低い。
3種類の幹細胞の特徴

再生医療(幹細胞治療)で期待される効果

その他の期待される効果
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骨・筋肉・関節・神経系の症状
- 脊髄損傷
- パーキンソン病
- 末梢神経障害
- 関節痛
- 膝関節症/腰痛/ヘルニア/ぎっくり腰
- 背中(全身)のハリ
- 肩こり/五十肩
- 骨折
- 肉離れ
- 痛風/指の関節痛
- 神経症状/神経痛/しびれ
- 糖尿病性神経障害
- 運動麻痺
- 感覚異常
- リウマチ性疾患
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内臓疾患・血管の症状
- 不整脈
- 心筋梗塞
- 肝臓病(肝炎、肝硬変、肝障害など)
- 末梢循環障害
- 心筋梗塞
- 自己免疫性疾患
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皮膚の症状
- 肌荒れ
- 白斑
- かぶれ
- 火傷あと
- 肝・膵に起因する症状
- 脂質異常症
- 高血糖
- アトピー性皮膚炎
- AGA
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眼科・口腔内の症状
- 眼精疲労
- 老眼
- 飛蚊症
- 視力低下
- 糖尿病性網膜症
- 歯周病
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呼吸器の症状
- 肺炎
- 喘息
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泌尿器科症状
- 頻尿
- 尿漏れ
- 勃起不全(ED)
- 婦人科症状
- 不妊
さらに、こんなお悩みに効果が期待できます
- 頭痛、頭重感
- 倦怠感
- 睡眠障害(不眠・寝汗・中途覚醒)
- 創傷治癒の促進
- 術後後遺症の改善
- 免疫低下
- むくみ
- 二日酔い
- めまい、ふらつきがある
間葉系幹細胞による治療
もともと私たちの体内にある幹細胞は、脂肪組織だけでなく骨や軟骨、心筋、また血管などを形づくる細胞に分化する能力を持っています。その力を活かしたさまざまな組織の再生医療が進められています。
幹細胞を使った治療は、加齢により衰えた組織の修復・再生や、病気・ケガなどにより損なわれた機能の回復を目指すものです。
衰えた組織や機能の修復・再生のための治療
治療を受けられる方の脂肪由来間葉系幹細胞を採取し、培養を行い、点滴で投与して生体機能の向上を図る治療、それが「幹細胞治療」です。脂肪幹細胞を増殖・活性化させた最適な状態の幹細胞を1回につき3千万個~2億個程度投与します。
私たちの身体に備わっている免疫が過剰に反応し、自分の身体を傷害してしまう自己免疫疾患では、幹細胞が持つ抗炎症による作用・組織修復作用・異常な免疫の抑制作用に期待が寄せられています。
幹細胞の2つの特性とは
幹細胞には「自己複製能力」と「分化能力」の大きな2つの特性があります。この特性を持つ成体幹細胞として、他にも臍帯・胎盤・骨髄由来の幹細胞がありますが、とりわけ脂肪由来の幹細胞は採取が容易で多くの量を採取できることで注目を集めています。
- 自己複製能力
幹細胞は分裂を繰り返すことで、自分と同じ細胞を作り出す。 - 分化能力
必要に応じて、体の様々な組織細胞に変化することができる。

幹細胞が注目される理由!ホーミング効果とは?
幹細胞は血管やリンパ管の中を移動して、全身をパトロールしながら、傷ついた細胞が出す「救助要請」の声をキャッチし、修復・再生のために傷ついた細胞へ自ら集まっていきます。
このように、ある特定の必要な場所に自ら移動することをホーミング効果(ホーミング=HOME+ing=帰巣性)といい、幹細胞を用いた再生医療が注目されている理由のひとつです。
幹細胞のホーミング効果
01血管内をパトロール

血管に注入された幹細胞は血液内部を循環。免疫反応による攻撃を避ける因子を出しながら、血管の中を約3ヵ月間見回ります。
02異常部分のSOSシグナルを感知

幹細胞は異常部分から出ているSOSシグナル(SDF1/CXCR4)を細胞表面の受け皿で感知し、異常部分に血管内の幹細胞が集まってきます。
03異常部分に向かう

血管の内側にくっつき、血管壁をこじ開けて、患部へ向かって飛び出し、患部の細胞の組織に入り込んでいきます。
04異常部分を修復・再生

細胞に分化、サイトカインを放出して異常部分を修復・再生約3~4ヵ月で目的の細胞に変化していきます。
Check Point
脂肪由来幹細胞治療の安全性について
脂肪由来幹細胞治療では、お客様ご自身の脂肪組織を使用するため、アレルギー反応のリスクを軽減できます。採取する皮下脂肪の量も小指程度と非常に少なく、身体にかかる負担やストレスも比較的少ないと言われております。
実際、心不全・肝硬変のお客様に対する冠動脈投与、心筋・乳房・尿道周辺における幹細胞治療でも、大きな問題はほとんど報告されていません。
治療を受ける際の注意事項
治療前の事前説明、同意について
治療を行うにあたって、治療の目的や安全性、リスク
そして効果についてしっかりと医師よりご説明します。
患者様と医師、両者の合意があってはじめて、幹細胞治療は行われます。
現病歴や既往歴を確認させていただき、医師の判断によっては治療が難しい場合もございます。
治療前の事前説明、同意について
- 脂肪採取時に使用する麻酔薬に対して過敏症のある方
- 最近6ヶ月以内の病原性微生物検査(HIV、梅毒など)で陽性の方
- ペニシリン、ストレプトマイシンなどに対する過敏症、又はその既往のある方 出血傾向のある方
- 本再生医療の同意説明文書の内容をご理解いただけない方
- 妊娠している可能性がある方、妊娠を強く希望している女性、妊婦、授乳婦
- 治療担当医師が本再生医療の施行を不適当と認めた方 18歳未満または90歳以上の方
副作用・リスク
脂肪幹細胞による治療について
脂肪由来の幹細胞を使った治療は、将来、多くの病気の治療に役立つと期待されています。しかし、現状ではまだ新しい治療方法であり、安全性や治療効果を十分に保証するエビデンスを得られてはおりません。
治療を受ける際には、メリットだけでなく、起こりうるリスクについても、医師からしっかりと説明を受け、ご自身の判断で決めることが大切です。また、多くの治療施設から、幹細胞治療には重篤な副作用はないということが報告されていますが、予期せぬ副作用が起こる可能性を否定できません。
当院では、患者様の安全を第一に考え、最新の医療情報を基に、最適な治療を提供できるよう努めています。
脂肪組織の採取について
脂肪組織の採取後は、傷跡の腫れや傷口からの出血、採取部の内出血、内出血後の腹部皮膚の色素沈着、創部の疼痛などの合併症を引き起こすことがあります。
その他の副作用
万が一このような症状が起こった場合は、当院の医師にご相談ください。適切に対処いたします。
術後の感染症 / 出血による貧血 / 腹筋の損傷 / 腹膜炎 / アナフィラキシー症状
※お受けになる場合、ヒト由来の成分注入によるリスク回避の観点から、以降の献血ができなくなります。
未承認医薬品等であることの明示、入手経路等の明示
医薬品医療機器等法における未承認医薬品等に該当しますが、再生医療等の安全性の確保等に関する法律により治療の実施及び製剤の製造が承認されております。日本においては未承認医薬品を医師の責任において使用することが可能です。
諸外国における安全性等に係る情報の明示
幹細胞治療の安全性に準じます。諸外国で重篤な安全性情報の報告はありません。
国内の承認医薬品等の有無の明示
同一の成分や性能を有する他の国内承認医薬品等はありません。
よくあるご質問
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Q
幹細胞は身体のどこにあるの?
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幹細胞は、私たちの体のあらゆる臓器などに存在し、傷ついた組織を修復する働きを持っています。新しい細胞を作り出して、壊れた部分を補修してくれるのです。しかし、年齢を重ねるにつれて、幹細胞の数は減り、再生能力も低下することが知られています。
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Q
脂肪幹細胞治療の負担は大きいですか?
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腹部などを数ミリ切開し、少量の細胞を採取します。局所麻酔を行いますので、痛みはほとんどありません。
術後すぐにシャワーを浴びることができますが、人によっては内出血や腫れが数週間続く場合もあります。
脂肪由来幹細胞治療の流れ
Flow01カウンセリング

お悩みやご希望をお聞かせいただき、医師がしっかりと診断します。
その後、インフォームドコンセントを遵守し、医師から再生医療の目的や施術内容について詳しく説明します。
※他院での画像検査(レントゲン・MRI)の結果がある方は、データをお持ちいただけますとスムーズな診察につながります。
Flow02血液検査(採血)《感染症検査》

特定のウイルスや細菌に感染していないかを検査します。
その結果で問題のない方のみ、治療を受けていただけます。結果は通常1週間程度でわかります。
Flow03脂肪の採取

腹部などを数ミリ切開し、少量の細胞を採取します。局所麻酔を行いますので、痛みはほとんどありません。
Flow04幹細胞培養

患者様から採取した幹細胞は細胞培養加工施設に送られ、施設での検査をクリアした後に培養を開始します。培養期間は約5週間です。
Flow05幹細胞投与

培養した幹細胞を、約90分かけてゆっくりと点滴投与します。設定した回数に応じて幹細胞投与を1ヶ月~3ヶ月ごとに繰り返し行います。
投与の際は、定期的に検査を行い、その結果を踏まえて、投与する量や頻度を調整します。
※年齢・症状・状態によって異なりますので、随時 ご相談させていただきながら投与していきます。
Flow06予後検診

最後の幹細胞投与から約6ヵ月後に予後検診を行います。
脂肪由来幹細胞治療の料金
治療費用 | お問い合せ下さい |
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脂肪由来幹細胞治療について
治療期間/3ヶ月~6ヶ月
治療回数/治療内容によって異なる
脂肪由来幹細胞治療の考えられるリスク
脂肪採取は腹部などを数ミリ切開して行います。
小さい傷なので段々目立たなくなりますが、切開当日や数日は内出血や赤みが出たり、筋肉痛のような痛みを感じる場合があります。
その他にも、消化不良・下痢・吐き気・鼻血・皮下出血などの副作用が出る場合があります。